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「地震シミュレーション訓練」セミナーに行ってきました。
先日、「地震シミュレーション訓練」のセミナーに行ってきました。
シミュレーション訓練は通常5~6人のグループで行うそうですが、コロナ禍で今回は1人での訓練でした。訓練では1,2分間隔で次から次へと入ってくる情報に対して判断を求められ、パニック状態のまま、あっという間の1時間。少し長文ですが、自分であればどうするか、考えながら読んでいただいて緊張感を感じてもらえたらと思います。
<セミナー目的>
・地震発生からの1時間をリアルタイムに疑似体験する。
・緊急時に企業経営者に求められる判断と決断の重要性について学ぶ。
<進め方>
・参加者は、架空企業の幹部社員。
・事務所棟2階会議室で役員会議の開催中に被災したと想定。
・入ってくる情報から状況を判断。
「①何が起きたか、どうなっているか(事実の把握、状況の確認)」
「②何をすべきか(判断、決断)」
「③どうするか(具体的な行動、指示)」を記録表に記載していく。
・緊急地震速報とラジオ放送は音声で流れる。
・現場の状況、周辺の状況はメモ用紙で提示される。(全員に都度配布)
・前方のスクリーンには時刻のみが表示される。
<想定企業概要>
・東大阪市内にある金属精密部品製造業(会社の位置は正確な地図が渡されます)
・従業員数:50名(役員含む)
・事務社員:15名(幹部5名、営業6名、総務4名)
・工場社員:35名(正社員25名、派遣社員10名)
2交代制 早番( 6:00~14:00)12名
遅番(14:00~22:00)13名
昼勤( 9:00~17:00)10名
・社員住所:東大阪市19名 大阪市14名 守口市8名 堺市4名 高槻市3名 吹田市2名
・通勤手段:自動車19名 電車17名 バス7名 自転車・バイク4名 徒歩3名
<会社の組織図と事務所・工場配置図>
<いよいよ訓練開始> 分単位で訓練の状況を記載しています。
16:30 緊急地震速報が流れ、地響き・ガラスの割れる音などが30秒ほど続きおさまる。
16:32 大阪市内震度6強、兵庫・奈良震度6・・・など(消防署からの緊急メールが入る)
16:33 従業員から、固定電話・携帯電話とも不通との報告
16:34 従業員から工場長と工場員3名の計4名の安否が不明。また出張中の営業マン2名と連絡が取れず安否不明との報告
16:35 従業員から来客中のお客様1名に怪我はありませんとの報告
16:36 従業員から駐車場が液状化している。また、マンホールが破裂し、泥水が敷地内に侵入しているとの報告
16:38 客先より営業担当にメール(被害状況と注文している納期について)
16:40 各地で停電及び断水情報(ラジオ放送から情報収集)
16:42 従業員から倉庫の一部が損壊し、瓦礫が一般道路にはみ出している。また倉庫に保管していた非常用物資(飲食料品、簡易トイレ、自家発電機等)が崩落した所にあり、簡単に取り出せないとの報告
16:44 鉄道運行全面ストップ(新幹線・JRなど)、高速道路は通行止め(ラジオ放送)
16:46 従業員から行方不明の工場員3名について、1名は倒れた機械に挟まれ身動きできず、残り2名が救助活動をしているが難航との報告
16:48 従業員から、工場長について報告(体調不良で14:00に帰宅、連絡取れず)
16:50 従業員から名古屋に出張中の営業マンの安否確認(名古屋で立ち往生、帰宅困難)
16:52 政府が緊急非常事態宣言発令、深刻な被害、大阪では火災が発生している(ラジオ放送)
16:54 従業員から、もう一人の営業マンの安否確認。社用車運転中に大渋滞中、自宅まで25キロ、会社まで30キロ地点との報告
16:56 従業員から南西方向で黒い煙が立ち上っている(現在、2mの南風)との報告
16:58 地震アラーム(あと何秒後に余震あり)
16:59 余震が発生
17:00 大阪市内余震6との放送(ラジオ放送)
17:03 市内の道路が大渋滞、緊急車両が通れない。近畿ジャンクションで崩落し道路が寸断(ラジオ放送)
17:05 JRの駅周辺に行き場を失った人たちが溢れている。(ラジオ放送)
17:07 従業員から近隣の住民が駐車場に集まっているとの報告
17:09 あちらこちらで火災が発生、通行可能な道路は、緊急車両優先、激しい渋滞(ラジオ放送)
17:12 大阪市内の中心部で火災発生(ラジオ放送)
17:15 従業員から、会社の両側100mの民家で火災発生との報告
17:20 従業員から、家族と連絡が取れず帰宅希望者がいるとの報告
17:25 今後、当分の間、最大震度6弱の余震が続く恐れあり(ラジオ放送)
17:30 訓練終了
いかがだったでしょうか。配られたメモは持ち帰りができず、記憶を辿りながら重要な情報のみ抽出していますので、実際には上記の倍近く情報がありました。その中でも赤字と青字は重要情報で判断、対応も緊張感が増します。皆さんなら赤字、青字の情報に対してどのうような判断をされるでしょうか。判断のポイントとしては下記を参考にしてみてください。
<ポイント>
・人命第一。
・被災直後は情報不足。
・二次災害に注意する。
・会社が生き残るために何をすべきか。「取引先に」迷惑をかけないためには。
・地域社会に貢献する。
入ってくる情報を、整理、優先順位付け、時間の記録などの作業を1人で対応したので、机上訓練でありながらもパニックになりました。実際の災害では冷静な判断がなかなか出来るものではありません。事実被災直後にはヒトの思考力は、平時の30%にまで減退するそうです。コロナ禍で自宅勤務が多い中、もし今、営業時間中に被災したらどうなるのか、津波、火山爆発など。色々と考えさせられる訓練でした。
会社の被災においても、被災直後の3日間(72時間)で何をするかが非常に重要で、この3日間の対策の正否が業務再開の時間に直結するそうです。訓練と分かっていてもパニックになります。企業として生き残るために、グループ会社との連携を図りながらワンチームとなってBCP(事業継続計画)の策定の必要性を感じました。社内でもこのような「シュミレーション訓練」を開催し、平時の準備の必要性を全従業員と共有したいです。